VLMとは?SLMやLLMとの違いはVLM(Vision-Language Model)は、画像・動画などの視覚情報と言語情報を統合的に理解・生成するモデル群です。典型的には、画像から説明文を生成(Image Captioning)、画像・図表・UIに関する質問に回答(VQA/DocVQA)、テキスト指示から画像・図版・UIモックを生成するなど、視覚⇄言語の双方向変換と結合推論を一つの枠組みで実現します。商用ではGPT-4o(テキスト/画像/音声の統合と高速・低価格化)やGemini 1.5(超長文脈でのマルチモーダル理解)、Claude 3.5系(推論力と視覚理解の強化)が代表例です。オープン系では、Qwen2-VL/2.5-VL(ドキュメント・数式・図表に強い)やLLaVA(視覚指示チューニングの代表手法)が広く使われています。基盤技術としてCLIP(コントラスト学習による画像と言語の対応付け、ゼロショット転移)がVLM時代の端緒となりました。LLM(Large Language Model)はテキスト中心で、長文要約、推論、コーディング補助などに強みがあります。SLM(Small Language Model)は軽量な言語モデル(例:Phi-3)を指す用法が現在一般的で、エッジ・モバイル・前処理ルーティングなど低レイテンシ/低コスト運用に適します。VLMはこれらに視覚モダリティを組み合わせ、図面・帳票・UI・スキャンPDFの読解など“ビジュアルが前提の業務”を対象化します。https://moji-inc.com/articles/llmhttps://moji-inc.com/articles/slmVLMを用いた事例画像キャプション生成/図表要約医療分野では、胸部X線レポート生成システム Flamingo-CXR が専門医評価で有望性を示しました。複数施設・異なる臨床文脈における自動評価指標・専門医評価で競合性能を確認しています(ただし実運用にはガバナンスが必須)。視覚質疑応答(VQA/DocVQA)Gemini 1.5は超長文脈でPDF・動画・画像・コードを横断的に理解し、マニュアルや図面、スライドの段落参照→根拠提示まで一気通貫の設計が可能です。画像生成・デザイン支援商用VLM群(例:GPT-4o)では、画像・音声を含むリアルタイム入出力の整備が進み、UIレビューや撮影物の即時注釈・改善指示など、制作ワークフローの短縮に寄与します。画像検索・レコメンドPinterestは2025年5月、視覚検索のAI機能を拡張。テキストにしにくい嗜好やスタイルも、画像側から属性化して探索できる体験を強化しました。ECやSNSでの“言語→画像/画像→言語”の橋渡しにVLMが実装ベースで効いています。オープン系での社内適合Qwen2-VL/2.5-VLやLLaVAを土台に、社内キャプション/QAデータで視覚指示チューニングを行い、ドメイン特化のDocVQA・UI理解・属性抽出に適合させる手法が一般化しています。VLMのメリット・デメリットを比較メリット結合推論:図表・レイアウト・UI・スキャンPDF+テキストを一括で理解できるため、マニュアル読解、帳票処理、EC商品タグ付けなど、ビジュアル依存の業務に適合。実装容易性の向上:GPT-4o など商用APIの速度・価格が改善し、PoC→本番への移行障壁が下がりました。オープンエコシステム:Qwen2-VL/2.5-VL や LLaVA などの成熟で、オンプレ/カスタム学習が現実解に。デメリット/リスク計算コストと遅延:高解像度画像・長文脈は推論コスト増。前処理(圧縮・領域抽出・可変解像度)やSLM前段のルーティングでの抑制が有効です。バイアス・多言語挙動:医療等の高規制領域では、外的妥当性や肌トーン・装置差などの分布シフト耐性が重要。導入前の評価設計と監査ログが必須です。Natureガバナンス:画像にPII(顔、名札、車番等)を含む場合の匿名化・最小化、著作権配慮、監査性の担保が求められます(特にSaaS連携時)。VLM開発方法や費用は?開発・導入パターン商用API活用(最短導入)GPT-4o/Gemini 1.5/Claude 3.5 をAPI経由で利用。画像QA、図表要約、UIスクショ解析などは短期PoCに向きます。GPT-4oは従来比で高速・低価格が公式発表され、導入しやすくなりました。オープンVLMの適合(社内特化)Qwen2-VL/2.5-VL、LLaVA をベースに、社内画像↔テキスト(キャプション/QA/手順書)で視覚指示チューニング。ドキュメント/図面/帳票中心のワークロードで強み。ハイブリッド(SLM+VLM)軽量SLM(例:Phi-3)で前処理・意図推定・ルーティングを行い、VLMは必要時のみ呼び出してコスト/遅延を最適化します。費用レンジ(目安)API中心:小規模PoCなら数十万円規模(利用量依存)〜本番規模で数百万円/年。オープンモデル運用:GPU環境・MLOps含め数百万円〜、高度な蒸留/評価体制まで踏むと1,000万円超も。データ整備:収集/匿名化/アノテーション/評価工数で数百万円〜。(※あくまで一般的な相場感。要件・規模・セキュリティ水準で大きく変動)評価プロセスの要点ユースケース別ベンチ(DocVQA、表抽出、UI読解など)を日本語出力安定性・根拠提示・コスト/遅延で指標化。医療・製造のような規制/安全重視領域では、外的妥当性評価と監査ログを最初から設計に組み込む(Flamingo-CXRなどの研究動向も参照)。VLMについてMojiにご相談ください!活用シナリオ設計:ECのビジュアル検索・類似提案、保守マニュアルや図面/帳票のDocVQA、コールセンターでのスクショ要約など、業務要件に即した選定を行います。データ基盤と評価:匿名化・データ最小化・監査ログまで含むガバナンス設計と、ユースケース別評価テンプレートの提供。実装:API導入(GPT-4o / Gemini 1.5 / Claude 3.5)から、Qwen2-VL/LLaVAの適合、SLM前段ハイブリッドまで、要件とTCOに合わせて実装